12日目

 朝起きて、お水飲んで紅茶を入れる。コーヒーが飲みたいけれど、うちのはお茶しかないし、そもそも道具もない。なぜなら、わたしが食べたり飲んだりしたいと思ったものを全部自宅で用意できるほどうちは広くないし、わたしにも余裕がないからだ。でもコーヒーが飲みたい。

 午前中は論文を書く。というか、今日は結局ほぼ文献を読んでた。午後は同僚とzoomで初心者の集いとして授業相談をした。わたしが非常勤で担当する予定の授業は文献購読なので、動画は顔合わせ程度あとはテキストでのコミュニケーションでどうにかするのがよさそう。しかし、今後を考えるとzoomで授業とかやっとくべきなのかもとも思う。

 あと、今日はトニ・モリスンの『「他者」の起源』を読んだ。彼女が集めた「自分の子供を殺した奴隷の母親」の資料に関する言及で、奴隷の母親であるマーガレット・ガーナーは犯行について自分の子どもが奴隷となり「徐々に殺されていくよりは、一度に殺して苦しみを終わらせてやりたかった」(p. 104)と述べたそう(孫引きなので本来ならすべきではないけど、元の資料にあたれないので)。つまり、これは、今後子どもたちが生きるであろう期間に得る福利は、いまその子を殺してその子がこれまでの間生きて期間の福利より著しく損なわれるにきまっていると判断しているわけだ。当然、その子の福利は母親が判断するべきなのかとか、そもそも母親の判断自体が平常であると言っていいのか、疑問が生じる。が、そんな疑問を吹っ飛ばすのがその判決で、母親は法的な責任をとれる存在ではない、なぜなら奴隷である彼女は人間ではなく、売り買いされるものであるから、というもので、地獄はの先にはまた地獄でどこまでも地獄という感じだ。このマーガレットの話は『ビラヴド』のきっかけとなったとトニ・モリスンは書いていて、しかし、日本ではもうしばらく『ビラヴド』は品切れだか絶版で、いま、図書館は開いていないし、アマゾンでは手が出ないほどではないが高値がついている。