4日目

 朝起きて、水飲んで紅茶入れて机に向かって論文。今日も基本的に昨日と同じ。通常出勤で生み出されるルーティーンが自宅待機で崩れて、最終的に昼夜逆転どころかいつが昼でいつが夜なのかわからないとなるのが怖いからこうやってメモを残しているのだけど、わたしの毎日なんてほぼ同じで、起きて水分取って、本や論文を読んで、論文を書こうと悪あがきをして、文献を調べて、賃金が発生する仕事をする。それ以外は、食事の準備をしてNetflix観ながらそれを食べ、音楽を聴いて、たまに酒を飲み、風呂に入って寝る。全部一緒。だから、そんなに書くことがない。4日目にしてネタが尽きた。読んだ本や論文の話でもすればいいのかなとも思うけど、個人が特定されそうでいやだなーとか、でもどうせわかる人にはTwitterに書いてることでも推測できそうだし、なんかもうそういうこと悩んでも仕方がないのでは?という気もする。

 今日は、初めてZoomで打ち合わせをした。喋るタイミングとかいまいちわからず、変な感じ。対面コミュニケーションでも喋るタイミングが被るとかあるけど、あれのひどい版みたいで、でもこれはわたしたちが不慣れなせいもありそう。「スタートレック」でも見直して、テクノロジーを用いてのコミュニケーション方法を学ぼうかという考えが頭をよぎったけど、人とのコミュニケーション方法をドラマで学ぼうとするのはシェルドン・クーパーくらいだから、やめといたほうがいい。

 『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』読了。タイトルにあるように、アマゾンもウーバーも現代の『蟹工船』か『女工哀史』といった感じなんだけど、コールセンターが妙に薄気味悪かった。筆者が述べるように、アマゾンや訪問介護に比べるといわゆる「ホワイト」な職場なのだが、「みなさん職場では楽しく働き、自分の好きな仕事をして各自の幸せを追求しましょう」と「お前にとってこの仕事を好きな仕事、この職場を楽しい職場であり、ここで働くことが自身の幸福に資するのだ」と暗に強制してくる。そのために、職場には無料のお菓子が用意され、少しばかり福利厚生が整えられ(なんとスポーツクラブが割引価格で使用できる!)、職場のパーティーでは酒を飲みながら二流芸能人が独別出演してくれる。芸能人ですよ!すごいですね!なんてすばらしいんでしょう!持ち株制度もありますよ!だから、みなさんはこの職場にコミットせよ!みなさんの好きなこの職場での仕事は楽しいのである。幸福だと思うこと、楽しいと思うこと、ここで働くことがお前の利益につながると呪文をかけてくる。恐ろしい。でもペラペラした中身のない恐ろしさは結構ありふれたもので、たぶん日本でも「働きがいのある職場」という名のコールセンター的職場は結構あるんだろう。筆者が述べるように「ホワイト」な職場もあっという間にブラックになる可能性がある。だって、どう見ても「ホワイト」なのは会社の温情であったりそのほうが会社にとって利益があるからだし、ブラックにならないよう抑制がなければ、それはたまたま「ホワイト」であるだけでしかない。たまたま奴隷を待遇よく扱うご主人さまの元にいるからといって、奴隷であることには変わらないし、すべての裁量はご主人さまにあるから待遇のいい奴隷も待遇の悪い奴隷も自由はない、というのと同じだ。だから、労働組合が必要だし政府や企業側を自分たちを管理するものとみなしてはいけないのだと、労働者の連帯をそれへの抵抗と位置づける筆者は、まさにわたしが映画や音楽や小説やそのほかいろんなメディアを通じて形成されたUKの左派の印象そのままだった。

 

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した